まえがき
まったくひどいもので、Aruba Networks 製のアクセスポイント AP-5xxシリーズはシリアルコンソールがMicro USBの Type Bと同じ形をしている。例えばCiscoのCatalystはRJ45のシリアルコンソールポートの他にMini USB Type Bポートが付いていて、PCと当該ポートをUSBケーブルで接続するとCatalystをCOMポートと認識してアクセスできる。これはUSB-シリアル変換チップがCatalyst側に存在しているから。つまりCatalystがちゃんとUSBデバイスとして認識するのである。しかしArubaのAPは違う。
ArubaのAP-5xxの設定用ポートはMicro USBのType Bと同じ形をしている。しかし、AP側にUSB-シリアル変換チップは搭載されていない。完全にコネクタだけ流用し、実際の信号は3.3VのTTLである。メーカーサイトのSpecificationsを見ると、Proprietary, micro-B USB physical jack
と書いてある。“physical”。おそらく機器側で何らかの対策はしてあると思いたいが、普通のUSBケーブルを接続すると壊れる可能性がある。
ではこのポートにどうやってアクセスできるのかというと、答えはOrdering Guide[PDF] に書いてある。JY728A AP-CBL-SERU なる専用ケーブルを買え、という。Amazonで確認すると参考価格が¥4,400とある。こんな汎用性のないケーブルにこんな金出せるか、と思う。
と、ここまでボロクソに書いてきたものの、唯一? 褒められる点はちゃんとこの似非Micro-USBポートのピンアサインが公開されている点だ。例えばAruba 510 Series Campus Access PointsInstallation Guide のFigure 7 Micro-B Port Pin-out を見ると以下の記載がある。
すばらしい。これが分かり、またAP-CBL-SERUに3.3VとTTLのレベルが記載されているので、あとはAP-CBL-SERUモドキを作るだけである。
製作
材料は以下の通り。
- USB-MicroUSB ケーブル
- USB-シリアル変換ボード(安価なものだとCH340チップの超怪しい製品は3個で¥600しない)
- USB TypeA メスコネクタ
- ジャンパケーブル
- ユニバーサル基板
- ピンソケット
- ハンダごてとハンダ
- ラジオペンチ
- マイナスドライバー
私の場合、このために新規購入した物品はない。USB TypeA メスコネクタは12V-5V変換ボードを安く仕入れたくてダイソーで買っておいたUSBシガー充電器があった。当初の目的からUSBコネクタなんてどうでもよかったので接収する。その他の物品は何か知らないけども買ってあった。
まずはUSBシガー充電器をバラしてハンダ吸い取り器でスッポンしまくりコネクタをゲットする。バラして、というとお行儀が良いが要は破壊である。ラジオペンチとドライバーは分解のために使った。
これを…
こうして…
こう。
そしてピンソケットとUSB TypeAメスコネクタを適当にはんだ付け。
そしてこんな感じで結線するとシリアルコンソールにアクセスできる。
結線はTX/RX/GNDのみ。動作電圧が5V/3.3V可変のUSB-TTL変換ボードを使う場合、接続前に3.3Vに設定すること。これを忘れると壊れるかもしれない。
正直、仕事で頻繁に使うなら会社に申請するなりして純正のケーブルを買った方が見た目もケーブルっぽく作ってあるし使いやすいと思う。しかし、明日使いたいけど注文すると間に合わない時や、自腹で手配する必要があるけどそんなに使わないしケチりたい、なんていう時はこれで十分だとも思う。
なお、私がこの変換を試したのは念のためである。AP-CBL-SERUは買ってあった。信じてほしい。
おわり。
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